Elegoo社の3Dプリンタをご利用の場合にはZ軸キャリブレーションと呼ばれる作業を行う必要があります。
本ページではそのZ軸キャリブレーションについて解説します。
なお、ご利用の機種によってはプラットフォームの形状などが写真のものと一致しない場合があります。
対象になる機種
本ページで説明する内容は下記の機種を主に対象としています。
リストに記載がない機種についても手順に差異があるものの、Z軸キャリブレーションの概念や目的、基本的な手順は共通である場合も少なくないかと存じます。
- Elegoo Mars Pro
- Elegoo Mars 2 Pro
- Elegoo Saturn (Saturn S、Saturn 8Kも含む)
Z軸キャリブレーションとは
光造形の3Dプリンタでは、プラットフォームと呼ばれる部品が液体状のレジンの中に入り、プラットフォームが設定された位置に来たときに紫外線を照射しレジンを硬化させます。硬化したレジンはプラットフォームに固着し、プラットフォームが上昇する時に一緒に引き上げられます。
これを繰り返し一層ずつ積み重ねることで、造形を行うという仕組みをしています。
この時、プラットフォームの基準となる位置がズレていると出力の失敗の原因になることがございます。例えば、プラットフォームが理想よりも高い位置を基準点としていると、硬化したレジンがプラットフォームに固着しない、あるいは固着が弱くなってしまう場合があります。そうなると出力の過程で出力物が脱落し出力に失敗します。
Z軸キャリブレーションとは出力の開始前にプラットフォームの基準点を正しく設定することで、出力が成功するようにするための設定です。
注意と補足
- Z軸キャリブレーションを行う際には必ずプラットフォームのネジを緩めてください。ネジが締まったままZ軸キャリブレーションを行うとLCDパネルを破損するなど故障の原因になります。
- Z軸キャリブレーションを行う際にはプラットフォームに出力物の残存物がないようにしてください。プラットフォームに以前の出力物が付着したままZ軸キャリブレーションを行うとLCDパネルを破損するなど故障の原因になります。
- 下記ではレジンVATを使う手順を紹介いたしますが、紙などでも代用できます。
本ページでは紙は厚さがそれぞれ異なり必ずしも適切な位置につけるわけではないことから、レジンVATを使用してZ軸キャリブレーションを行っております。
Z軸キャリブレーションの方法
- プラットフォームとレジンVATを3Dプリンタに取り付けた後、プラットフォームの2つのネジを緩めます。この時ネジが外れない程度に緩めてください。ネジが外れてしまった場合には付け直してください。
- 本体の電源を入れ、タッチパネルのTOOLアイコン→Manual を順にタッチします。
- ホームアイコンをタッチするとプラットフォームの下降が始まります。最下部に到達すると、一旦少し上昇したのちに再度下降し停止するので、それまで待ちます。
- プラットフォームが最下部で完全に停止したことを確認したら、プラットフォームの四隅を軽く押して、しっかりと接地してることを確認します。またプラットフォームが斜めに場合にはまっすぐになるように調整します。
問題ないようであれば、2つのネジを締めて固定します。 - 上昇ボタン(中央のボタン)を複数回タッチしてプラットフォームを適当な位置に上昇させます。なお、画面上部の ●mm というボタンを押すと一回の上昇で選択した距離だけ移動するようになります。(10mm を選択していれば一回上昇させると10mm 移動します)。なお、プラットフォームの正しい位置というのは特にございませんので作業上邪魔にならない程度に上昇させたらそこで止めて問題ありません。
- 以上で、Z軸キャリブレーションは終了です。
Z軸キャリブレーションを行うべきタイミング
Z軸キャリブーレションを毎回行うことは必須ではありませんが、出力の失敗を避けるという観点からは毎回行うことを推奨します。ネジ締めが甘かった等の原因で、長時間や繰り返しの出力により徐々に固定がズレてくる可能性が考えられるからです。
この点については毎回行う手間と出力の失敗を避けられるメリットを衡量して、どの程度の頻度で行うのがご自身にとってベストかを考えて決めていただければ幸いです。