本ページについて
3Dプリンターの中にはZ-offsetあるいはZ=0という設定がある機種があります。
本ページではこれらの設定が何を意味するのかについて説明します。
Z-Offset とは
Z-offset とは、3Dプリンタが出力を始める際の開始地点の設定のことを差します。
3Dプリンタはそれぞれの機体に下降限界があり、多くの場合には下降限界位置を出力開始地点に設定しますが、下降限界位置が出力開始地点だと出力に望ましくない影響がある場合には、下降限界位置より多少上の位置を出力開始地点に設定する場合があります。
この時の下降限界位置と出力開始地点の差異をZ-offset または、Z=0と呼びます。
本ページではZ-offset で呼称を統一します。
Z-offset の設定が必要な場合
適切なZ-offset が設定されていないと発生する可能性がある問題
Z-offset の設定が必要になる場合としては、出力物がZ軸方向に短くなってしまう場合があげられます。より具体的には初期層から1mm-2mm 程度の範囲が出力されないという場合です。
例えば、20mm の高さの立方体を出力しようとしたが、18mm しか高さがなく、初期層から約2mmの層が省略されたような造形になります。
上記のような問題が起きる原因
3Dプリンターで出力を開始する前のz軸キャリブレーションの際にプラットフォームの位置調整を行います。この際に、プラットフォームがレジンVATのフィルムを押し込みすぎた状態でキャリブレーションを終えてしまう場合があります。
フィルムが押し込まれた状態で出力開始をすると、最初の層が出力される際にプラットフォームとフィルムが完全に接しておりその間にレジンが入り込めません。
レジンが入り込めないとその層はレジンが硬化できないので出力されません。
層が進むごとにプラットフォームは上昇していくため徐々にこの問題は解消されていきますが、解消されるまでの層は出力がされないため、初期層から一定の高さまでの層は省略されたかのような出力になります。
イメージとしては、紙の印刷をする際に、紙の端がうまく印刷されない現象に近いかもしれません。
対策としてのZ-Offset
Z-Offset は上述のように、出力開始位置を調整するための設定です。
上記のような問題が起きている場合には、Z-Offset を調整し、少し出力開始位置を上にあげることが有効です。出力開始位置が高くなることで、プラットフォームとレジンVATのフィルムの間に適切な空間が生まれ、そこにレジンが入り込み適切な出力が行えるようになります。
特に粘度が高いレジンを使っている場合や、寒い時期にレジンが冷えて粘度が高くなった場合には適切なZ-offsetがないと出力物が短くなることがあります。